泉南市の山手、今は住宅地になっているエリアに残された公園に、砂川奇勝といわれる場所があります。あるいは、かつてそう呼ばれていた場所の名残があります、というべきか。
200万年前の砂岩地層が地殻変動で隆起し、こんな白い岩が露出したような特異な地形になっています。
砂岩質なので雨に侵食されやすく、くぼんだところと立ち上がったところがいくつも。
近くにある砂川という地名も、この砂岩の地面に雨が降って侵食されているのが川のように見えたから、と。
この地質だから育つのも松くらいで、松の緑と地面の白のコントラストがそれは美しい土地だったと。
昭和初期に阪和電鉄(現在のJR阪和線)ができたときには、天下の奇勝だと宣伝して一大行楽地になっていたそうです。
しかし、経済成長と共に郊外に憧れのマイホームを持つという需要が伸びていって、天王寺まで阪和線でいける泉南市にも住宅開発の波が。この崖の上はすぐ、住宅が立ち並んでます。
今はもう、泉州の人でもあまり知られていないような、ささやかなスポット。
まあ、もはや郊外の住宅需要が増えることもないだろうし、このわずかに残ったかつての奇勝は、これ以上削られることなく、人間の都合と離れて残り続けるんでしょう。

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